<フィラリア症とは心臓のなかに寄生虫が住みついて心臓病を引き起こす病気です。>

　■フィラリアってどうやって感染するの？

太さが１ｍｍほどで、オスは10cmぐらい、メスは20cmぐらいの細長い白い虫です。
心臓のなかに住みついて0.1mmほどの子供（仔虫）をたくさん産み続けます。
この仔虫の寿命は2〜3年です。親は5年ぐらいです。
親虫は心臓の中だけにいますが、仔虫は血流に乗って全身をグルグル回っています。
仔虫は蚊に吸われて蚊の体内で数日生活をしないと大人になれません。
蚊が再び犬を吸血する時、蚊の唾液と共に仔虫は犬の皮下にもぐり込みます。
仔虫は1ヶ月ぐらい皮下で過ごしてから血管に潜り込み、血流に乗って心臓にたどり着きます。
4〜6ヶ月でりっぱな大人の虫として心臓に住み着くのです。
蚊の吸血行動をうまく利用して子孫繁栄を図っている賢い寄生虫です。

　■フィラリアになるとどんな病気になるの？

心臓に虫が住み着くので心臓病になります。
毎年少しずつ虫が貯まっていくので少しずつ心臓にダメージを与えます。
心臓病の症状として、高血圧　息切れ　咳　腹水などが現れます。
また、肝臓や腎臓や肺などがすこしずつ血流不全や体内に虫という異物が存在することによる免疫反応で弱っていきます。（慢性症状）
虫は心臓の奥に住んで犬を急に弱らせないように生活をしているのですが、まれに虫が間違えて心臓の中を移動して突然弱らせる時があります。その時は血尿をして元気食欲が無く、呼吸が苦しそうにします。（急性症状）

基本的に心臓病になったことですから、心臓病の治療をします。
血圧の薬、気管支拡張剤、強心剤、消炎剤などを組み合わせて行きます（慢性症状）。
寄生数が少なく身体状態が良好であれば駆虫処置も可能です（無症状時）。急性症状時は早めの外科的処置を必要とします。予防をきちんとすれば5年で虫はいなくなります。

　■感染させないにはどうすればいいの？

　■なぜ薬で予防できるの？

フィラリアは蚊によって感染させられる訳ですから、蚊に刺されなければＯＫです。
でも、裸のワンちゃんを刺されない様にする事は容易ではありません。
そこで、蚊に刺されてフィラリアの子供が侵入したら、フィラリアの子供が大きな親虫になり心臓で悪さをする前に、1ヶ月に1度、とっても小さくて弱虫な仔虫を心臓で悪さをする前に駆虫してしま方法なのです。予防薬は正確に云うと「仔虫の駆虫薬」ですね。
仔虫は大変小さいので死んでしまうとすぐに白血球に食べられて処理されてしまいます。
親虫ほど大きくなると大変強い虫になり強い薬を使わないとなかなか殺せません。また、親虫はかなり大きいので死んだ親虫は白血球で処理し尽くせなかったり血管を詰まらせたりしてワンちゃんにかなり負担をかけてしまいます。
お腹の虫だと下痢をして虫のせいですねと後からやっつけても、死んだ虫は便と一緒に流せて、下痢は治り腸も健康に戻ります。フィラリアの場合、心臓はなかなか故障すると治ること少なく、親虫は殺しても心臓の中ですから死んだ虫は体内の大きなゴミとしてやっかいな存在となってしまうのです。
フィラリア予防は他の寄生虫疾患と違い「命の要・心臓」を守る大切な事なのです。