猫の生子（しょうこ）ちゃん

３年前、野良猫のメス、生後およそ２ヶ月の子猫が現れました。交通事故で頭を強く打ったのでしょう。横倒しのまま虫の息です。
口からはたくさんの血がヨダレと混じって流れています。目は白目をむき震えています。
何とか助けたい・・・
スタッフたちが指示も出さずとも緊急処置の準備。点滴、酸素吸入、抗ショック剤の投与などなど開始。しかし、冷静に獣医師の目でみると、ほぼ絶望的な姿です。
レントゲンでは、胸には血が貯まり、脳圧が上がった像がみられます。
頭蓋骨など骨折が無いことが幸い。
もっても２～３日か・・・
スタッフたちから「なんとかして！」と目で訴えられるのがつらい・・・。

３日目、がんばっています。
呼吸が安定した以外は変化無し・・・
横倒しのまま、目の振るえ（眼振・ｶﾞﾝｼﾝ）は、ひどいまま・・・

５日目、６日目、がんばっています。
でも状態は変わらず・・・。

７日目、スタッフから「先生！立ち上がりました」との絶唱！
でもヨタヨタ斜めに２～３歩だけ回転するように転ぶのです。眼振も相変わらず、口を開けてみると顎（ｱｺﾞ）がガチガチ痙攣します。
よし！首から下は安定した。このガッツに答えよう！
何とかなるかものしれない。
胃に流動食を直接流すチューブを装着しよう！スタッフに指令「麻酔の準備！」
スタッフたち「はい！準備します。がんばれ！」まずは少しずつ胃が驚かないように流動食を１日８回少しずつ・・・。

１０日目、斜めだけれど転ばずに歩けたよ。
４歩５歩だけですが、すごいよ。それに眼振が止まってきた。よく見ないと分からないぐらい収まってきた。いいぞ！でも、顎がうまく動かないね。

１５日目、すごい　初めて食事を口から食べた！とっても顎の使い方はヘタクソでガクガクしながらだけれど。ほとんど、口からこぼれちゃうけれど。食べた！食べた！

２０日目、この５日間　日に日に食べ方が上手になってきた。流動食も徐々に減らせるね。体重も増えてきたよ。

２５日目、流動食終了！チューブをはずせたね。もう１人前に食べられるようになった。眼振も無くなった。首は斜めで（斜頸）いつも左側に傾（かし）げているけれど。食べ方もヘタクソだけれど、こぼさなくなったね。もう、大丈夫！生きていける。
「やったー　すごい」スタッフたちも大喜び。
"きみの名前は""生き抜いた女の子""だから「しょうこ・生子」だね。"
「先生！センチな名付け方するんですね。笑っちゃいますよ」
首をいつも左に傾げながら斜めに歩く「生子ちゃん」
どんどんオテンバ娘に育ちました。
３年経って　ほんの少し左に傾げているけれど、真っすぐ歩けるようになりました。